「メディア・バイアス~あやしい健康情報とニセ科学」という新刊を上梓されたサイエンスライター、松永和紀さん は、大学の後輩。昨日は、その松永さんの話を、卒業した研究室のOB・OGから現役生が集まって聞く機会があった。
残留農薬のポジティブリスト制度施行以来、農業の現場で起っていること、消費者団体の意識、あるいは、行政の対応など、彼女独自の視点でもって、緻密な取材、調査からの展開は、小気味よい。何度か松永さんの話は聞いているが、昨日のように、研究者を相手に話すのを聞くのははじめて。
昨年あたりは、ポジティブリストといえば、殺気立っていた食品関係者が多かっただけに、出席者の反応は意外にのんびりで、ちょっと面食らってしまった。農薬関係の仕事に従事しているのでない限りは、関心ないのは当然なのだろう。
農業生産者と消費者との間には深い溝があると、松永さんは冒頭述べられていたが、さらには、加工メーカー、流通、あるいは、外食・中食といった企業との間にも溝があるのは、確か。この溝を埋めるには、互いのコミュニケーションが必要なんて、もっともらしいことを言っても解決にはならない。感情論でしか、相手を見てないからだ、と思う。
感情でなく、サイエンスを持ち込んで話をしたいところだけど、サイエンスって何だよ?という食品業界。サイエンスを説くべき学者は、遠い存在にあるし、学者からも、こちら側は、まだまだ遠い存在のだと、気付かされた連休初日だった。