スーパーでやまももを売っていた。子供の頃、近くの林に植わっていて、よく食べたもの。木からもぎとったやまももは、めちゃくちゃいい香りで、実のぷちぷちしたところが、舌にあたる感覚が忘れられない。子供にやまももを、見せたくて、食べさせたくて、買ってみた。でも、記憶ばかりが増幅していたのか、食べてみると、こんな味だったかなあ、むかしの味とはかなり違う。
思いっきり、背も伸ばし、手も伸ばして、やっとこさとったやまももの味わいは、その苦労やドキドキがあってこそだ。食べ物のおいしさなんて、確かにそのもの自体の味も大事だけど、食べるときの環境によって大きく変わってくる。みんなと食べた風景は思い出しても、食べたもののことなど、あまり覚えていない。所詮、食べ物なんて、ソエものなんだ。
あまりにも、食べ物にこだわりすぎなんだよなあ、と。太るのも食べ物のせい、こどもがキレるのも食べ物のせい・・・。本当は、全部、人間のせいなんだよなあ。