「顧客マネジメント論」の講義を担当している。CRM(Customer Relationship Management)をうまくやっている企業と言えば花王のエコーシステムを浮かべる方が多いのではないだろうか。お客様の声を社内で共有することと、また商品づくりに役立てるためのエコーシステムは、1978年にスタートしたという。当時としたら、先進的な取り組みだったろう。
しかし、花王は、エコナ問題で、今期業績を下方修正している。お気の毒というよりほかにない。さて、他に、学生に紹介するいい事例はないかとネットをくってみる。と、A社のページに目がとまる。
息が止まりそうなくらいびっくりした、エコナ問題に言及した同社のお客さま相談室のページ。「俺は関係ない。うちのは大丈夫だ。」と。確かにごもっとも、でも、こういう言い方ってないんちゃうかな。抜粋させてもらうと以下の通り。「A社の食用油は、花王(株)が言っているところの一般食用油であり、安全性に問題はないと考えます。」
それはその通りだけど。エコナ問題で、どこの会社もきっと他人ごとではないと受け止めているはず。「トクホ」という制度自体、またそれを製品に付ける業界の姿勢が問われているように思う。自分だけいち抜けようなんていう態度は、許せない。
成分がどうなのか、というのも確かに大問題。でも、それより食品業界全体が「トクホ」について、そして、消費者へのコミュニケーションについて、考えるいい機会だと思う。例えばエコナ、あたかも「天ぷらいくら食べても、コレステロールがつかへんぞ」みたいな売り方していた。そんなことはあり得ない。他のトクホ製品だってそうだ。これを食べたら血圧下がる、血糖値下がる、、、ホンマかいな?です。
確かに臨床試験で、コレステロールが下がったくらいのエビデンスはあるんだろう。でも、しょせん、油は、油。これ食べたら健康になると淡い夢を見ていたところに、発がん性。問題はすり違えられて、裏切られた~となるわけよ。消費者も冷静な判断力を持つ必要があるけど、企業はもっと考えて。
ほんと、イメージばかりふくらませるコミュニケーションってどうかと思う。トクホを扱う大企業の皆様、ぜひ、リーダーシップをとって、考えていってほしい。
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